ガルシア・ロルカ悲劇三部作第3章「血の婚礼」は、悲劇と書いて「ひみつ」と読みます。
血の婚礼のキャスト・スタッフによる「悲劇・ひみつ」をテーマにしたコラムを書いてもらいました。
あなたのひみつを呼び覚ますような読み物です。ぜひお楽しみに。
「秘密」
目を瞑るときにだけ見える
この咲き乱れる花々は、どんな想いの成れの果てなのか。
風もなく
虫もいない
ただ咲いている
体をしんと澄ましても、何の響きもなく
切り離された、己のみぞ知る場所。
ならば、目を開けたときに実態をもつ
この累々と散り積もった花びらたちは?
このふくりと膨らむ実の兆しは?
骸よ。
十字架を、その土に立てましょう。
白く強い光の中で、すべては影となることを赦され
いつか土へとなるでしょう。
命よ。
パンと葡萄酒を、その身に与えましょう。
強く白い光の中で、柔く温かな手足は祝福され
いつか実を成すでしょう。
円環に無遠慮に騒々しく連なることのできるものたちにのみ降り注ぐ
赦しと祝福の数々よ!
連なることのできぬものよ。
お前はお前のためだけに、それを弔えばよい。
誰の邪魔にもならぬよう、気付かれぬよう、秘して密かに。
神は預かり知らぬ。
お前の、お前による、お前のための花園。
それをこそ秘密と呼ぶ。
いしだま
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