ひみつのコラム|峰尾かおり

ガルシア・ロルカ悲劇三部作第3章「血の婚礼」は、悲劇と書いて「ひみつ」と読みます。

血の婚礼のキャスト・スタッフによる「悲劇・ひみつ」をテーマにしたコラムを書いてもらいました。

あなたのひみつを呼び覚ますような読み物です。ぜひお楽しみに。


「墓場まで持っていけるかな?」

秘密、というと、思いおこされるのが、泉鏡花の「外科室」という小説
大きな手術が必要なのに麻酔を嫌がる美貌の夫人がでてきます
彼女が麻酔を嫌がる理由が、朦朧とした意識になって、うわ言で「秘密」をしゃべってしまうのがこわいから
彼女の気持ち、わからんでもない
こうみえて、わたしにも、墓場まで持っていこうと決めている秘密があり
ボケたりしたとき、この秘密をしゃべったりしてしまわないかな、と
不安になるときがあります
その時がもし来たら
それを聞いた人は、わたしの話を信じるのかな
それとも、ききながすのかな
もしかしたら、当事者でないものには、大したことと思われない秘密なのかもしれない
けれども秘密の裏には
罪の意識が隠れていて
それ故、みんな、口を閉ざすことを選ぶのでしょう
なにを罪と思うかは、きっと、人それぞれ

峰尾かおり


血の婚礼サイト