ご挨拶

企画・演出:五味伸之


耳で読む漫画体験は漫画内のセリフ・効果音・オノマトペや漫画記号(漫符)を合唱と朗読で表現した朗読劇です。
作品は怪奇と叙情的な作品を描く日野日出志が1990年代に連載していた「Mコレクション」です。作者本人が登場するドキュメンタリー要素のある作品は、昭和の懐かしさと妖しさ満点で、大人には懐かしく、子どもには新鮮に楽しんでいただけます。
家族の中に起こった奇妙な出来事を描いた「家族編」と、漫画を描くことの不思議・面白さを描いた「漫画家編」の2つの内容を3月30日・31日それぞれで上演します。耳で楽しむ朗読劇は目の見えない方の劇場体験としても楽しんでいただけます。

日野日出志漫画について

日野日出志漫画の登場人物は悲しみにまみれています。
彼らは決して日の当たらない日陰の中に生きています。
殴られ、誹られ、追いやられ、社会のはみ出し者の姿を描き、苦しみの果てにたどり着いた狂気の世界、幻想の世界が日野日出志漫画に現れています。街の景色を一気に衛生的にしていった1964年の東京オリンピックから3年後の1967年に日野日出志は漫画家としてデビューしています。同じ頃にはグループサウンズの大流行、ウルトラセブンの放送開始、天才バカボン・ルパン三世などの漫画が連載開始。社会の変化と、時代をリードするような文化・芸術が花開いている時代の中で日野日出志は漫画家デビューをしました。
デビュー作「つめたい汗」は、炎天下の中で侍同士が暑さによって自分をコントロール出来なくなる様子を描いた作品です。その後、レイ・ブラッドベリの「刺青の男」を読み、”怪奇と叙情”、”人間として存在することの根源的切なさ”を表現した伝説の漫画「蔵六の奇病」を1970年に発表ました。
その後、「赤い蛇」「地獄変」等、虚構の漫画世界から読者の
現実を侵食する作品を数々発表し、国内外で高い評価を得ることになります。

日野日出志について

日野日出志は1946年旧満州チチハルに生まれています。
同じく満州生まれの作家に日本の不条理劇を築き上げた劇作家”別役実”がいます。別役実の作品世界の多くには荒野の中に佇む電信柱が登場しています。それは、戦後の何もない景色の中でも立ちつくす電信柱の姿を描いているといわれています。同じように日野日出志の作品には、騒音を撒き散らし、毒々しい煙を吹き上げ続ける工場が度々登場します。高度経済成長の真っ只中で、日本が猛烈な勢いで変化し、失われた祖国を描いているように感じます。


STORY

物語


ビン詰めの眼球

怪奇と恐怖にとりつかれた漫画家日野日出志。
彼はすばらしいコレクションに囲まれて、くる日もくる日も怪奇漫画を描いている。
コレクションの中から瓶詰めの眼球の物語を話し始める。

幸福を呼ぶ鏡

孤独な少女はかわいいペットに囲まれて暮らしている。ある日彼女は不思議な鏡を見つけた。
「家族もクラスメイトもみんなみんないなくなればいい!」そう願った瞬間、鏡が光だし、かわいいペットたちが少女の願いをかなえるのだった。

腐った脳みそ

怪奇漫画家日野日出志が10歳の頃、彼は夢見る良い子(日出坊)であった。絵本の世界は夢を見せてくれるけど、煙突の煙、騒音、ドブ川の悪臭に囲まれて育った日出坊は「そんな風景みたことない!」
「絵本なんてうそばっかりだ!!」そう思った矢先、日出坊はひどい頭痛に襲われ、寝込んでしまう。
祖父は言う。良い子の絵本を読んだから、脳みそが腐ってしまったのだ!と。

畸胎の肉塊

家の前を流れるドブ川で、ひろった肉の塊を持ち帰りタライで飼っていると、日に日に大きくなり、
ついに現れたのはもう一人のぼく!ヒデ坊が二人になる、良い子の日出坊と悪い子の日出坊!?もう一人のぼくは、とんでもないヤツだった。そして地獄の日々がが始まった・・・。

ヒデコング

友だちもなく孤独な日々を送る日出坊。ある日、大きな紙を壁に貼り、クレヨンで絵を描き始めた。
3日目、ようやく描き終えたそれは、ヒデ坊のたったひとりの友達、「ヒデコング」となる。世界一強い妖怪で日出坊の言うことはなんでも聞く友達。それから毎日、画の中のヒデコングに語りかけて遊んだ。ある日家に帰ると、壁に貼った紙からヒデコングがいなくなっていて?!最強の友達との大冒険と別れの感動作。

悪魔の招待状

日野日出志の元に「日野日出志に殺された者達の会」から手紙が届く。
1967年のデビュー作つめたい汗、名作蔵六の奇病、ゾンビマン、毒虫小僧など日野日出志が描いてきたキャラクターが日野日出志に復讐するという。自分の描いたキャラクターたちに殺される漫画家の話なんてみたことない!?

腐乱の胎児

母は普通の人ではなかった。
日出坊は生まれたときに左手に血こごり、右手に双児のかたわれの胎児を握りつぶしていたという…
そのショックから母は普通の人ではなくなったのだった。
恐ろしい母を地獄に落とそうと、日出坊は恐ろしい計画を思いついたのだった。

蜘蛛の刺青

ある夜、日出坊は父のうめき声で目が覚めたのだった。父の叫び声に恐る恐る障子を開けると…日出坊は父の背中に恐るべき秘密があることを知ってしまう。

にわとりの首

にわとりになりたい祖母。
そんな祖母に祖父は怒るが、次第に祖母の奇行は酷くなっていき、ついには…。

肉瘤

祖父は常に体のどこかにコブがあった。
コブには膿がたまりやがて大きくなると毎回、日出坊を呼び膿を出してもらっていた。
今日もいつものように膿を出してみると…ソレが動いた!?

赤い肉虫

日出坊には体が弱い姉がいた。
とある夜、日出坊はいつものように姉の部屋の隣で寝ていると異様な気配に目が覚めた。
そして日出坊は、見てしまった、
この世のものとは思えない恐ろしい光景を…。

白い指

「おかあさん!?」まるで、死んだ母と同じ顔にびっくりする日出坊。
なんと、母の双児の妹だった。その美人で若々しい叔母が亡くなった母のかわりに『新しいお母さん』となり日出坊一家は大喜び。たくさんの家事をする新しいお母さんの指は真っ白で宝石のように美しくヒデ坊はその指に魅入られる。

あいつ

「あいつが生きていた!?」
それは祖父の肉瘤から生まれた、腐った魂に違いない・・・。
『あいつ』は突然光を発したかと思うと日出坊の家へフワフワと飛んでいき、そして屋根からスルリと家の中へ入り込んだのだった。うちに”恐ろしいことが起きる…”日出坊はその時そう確信した。


CAST

出演者


ほたか

いしだま
(テクテクハニカム)

葛西望
((株)アル・シェア)

峰尾かおり


片山乃彩
(マジカル超DXランド)

高松美果
(マジカル超DXランド)

そめやみつ
(マジカル超DXランド)

中村賀亮
(Chor Doma)

大坪亮太
(Chor Doma)

ウー・ルオチェン
(Chor Doma)

市民参加


STAFF

スタッフ


日野日出志

漫画家。大阪芸術大学芸術学部キャラクター造形学科教授。
1967年のデビュー以来、雑誌「ガロ」「少年画報」「少年サンデー」などを中心に
「蔵六の奇病」「地獄変」など数多くの怪奇や叙情的な世界を表現し、ホラー漫画界の重鎮として人気を確立。
国内にとどまらず海外でも高く評価され、翻訳作品が多数ある。


五味伸之

俳優・演出家。1985年、群馬生まれ。
「記憶とのつきあい方」をテーマに演劇活動を行う。参加者の体験を再構成し劇化する作品創作を得意とし、プレイバックシアター、新聞劇、お化け屋敷演劇など、様々な上演形式の演劇作品の発表も行っている。2009年より海外へ進出しTongMyong大学(韓国釜山市)での招聘公演を皮切りにアジアでの上演も多く行っており、2011年〜2014年「Small Theater Big Drama」(香港)、2015年、Wuzhen Theater Festival参加。2008年からは(公財)福岡市文化芸術振興財団主宰の演劇ワークショップや、福岡市就労自立支援センターでの演劇コミュニケーション講座講師など、指導者としての活動も行う。その他、ナレーションなども行う。福岡恐いもの研究会代表。無倣舎主宰。


そめやみつ(マジカル超DXランド)

石川県出身。九州大学芸術工学府大学院修了。
合唱・演劇・CGアニメーションの制作など様々な分野で活動しています。


舞台美術・道具

池浦和彦
(工房エレファンテ)

衣装

よこしまちよこ
(服のよろず屋よこしま屋)

監修山田恵理香
演出助手加藤久美子、須々美七海
舞台監督・照明・音響(株)九州舞台
宣伝美術五味伸之
制作空間再生事業 劇団GIGA、髙橋知美(キューズリンク)
協力日野プロダクション
主催空間再生事業劇団GIGA
助成芸術文化振興基金助成事業

INFORMATION

公演情報


●上演日
2024年
3月30日(土)19:00 「Mコレクション・漫画家編」
3月31日(日)14:00 「Mコレクション・家族編」
※各回30分前開場

●チケット
1作品券
・一般:2,500円(当日3,000円)
・U22割(前売・当日とも):1,500円
・障がい者割引(障がい者手帳をお持ちの方):1,500円
 ※付き添い1名(無料)
・U22割+障がい者割引(障がい者手帳をお持ちの方):500円
 ※付き添い者1名(無料)

2作品セット券(前売りのみ)
・一般:4,000円    
・U22割:2,000円
※2作品セット券:両日観劇する場合にお得になるチケットです。

●チケット取り扱い
WEB予約:https://www.quartet-online.net/ticket/hinohideshi

●お問合せ
空間再生事業 劇団GIGA
メール:mail@spacegiga.com
WEB:https://spacegiga.com/


●会場
春日クローバープラザ クローバーホール
〒816-0804 春日市原町3丁目1-7

JR鹿児島本線「春日」駅下車 徒歩約1分
西鉄天神大牟田線 「春日原」駅下車 徒歩約10分


TICKET

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上演のお問い合わせは空間再生事業 劇団GIGAにお願いします。
TEL:050-5319-9109
メール:mail@spacegiga.com
web:https://spacegiga.com/