Mコレクションのテーマ

ご挨拶

企画・演出:五味伸之


日野日出志さんの漫画のページをめくる手が止まらなかった。
蔵六の奇病では、蔵六を追い詰める村人たちが恐ろしかった。地獄変では、血まみれで斧を振り上げた叫びにシビれた。毒虫小僧では毒虫と一緒に泣いた。赤い蛇では出口はないのかと絶望した。わたしの先生ではミステリー仕立ての展開にワクワクした。サーカス綺譚では旅芸人の悲哀を知った。赤い花では猟奇の執念に震えた。地獄の子守唄ではとても寝れそうになかった。

色々な場面で日野日出志さんの漫画を読んできました。
登場人物の異常で狂おしい姿と、弱い者の立場から世界を見ているホラー漫画の世界が時に現実を忘れさせ、時に現実を教えてもらい、何度も自分を支えてくれました。
これらの世界を、恐ろしい・気持ち悪い・気が触れているなどと敬遠する人もいるかもしれませんが、描かれるのは人間の弱さや美しさで、決して日陰にのみ咲く花ではありません。太陽の中でも燦然と輝く花だと思います。

今回、朗読劇を作っていく過程で、世代によって漫画に描かれてる景色の受け取り方が全然ちがうということを知りました。ある人にとっては実際に体験した現実として、ある人にとっては架空のフィクションとして、受け取っていました。世代を超えて語り合うことができるのも作品の描写のインパクトあってのことだと思います。

上演では、視覚に頼らない読書体験として、読んでいないのにまるで読んでいるかのような体験を目指しています。今回は1990年代にホラー漫画全盛期に連載していたMコレクションの中から家族の物語を集めて上演します。
4月29日はβ版として上演しご来場くださったみなさんと意見交換したいと考えています。
みなさんのご来場お待ちしています。

企画・演出:五味伸之


INTRODUCTION

恐怖と幻想の漫画家日野日出志のホラー漫画を
朗読劇で上演します


本上演は下記の内容を目指して実施いたします。

①漫画作品を朗読劇にして上演!
漫画記号「漫符」、擬音・オノマトペ、セリフ、ナレーションなどを
どのタイミングで声にするのが良いかを設定しながら、
まるで読書しているかのような体験を目指して上演致します。


②朗読劇と合唱のコラボレーション!
擬音・オノマトペ、漫符などを合唱隊の方々に歌っていただきます。
合唱の作曲はアニメ監督・演出家としても活躍しているそめやみつが行い、
複数の合唱団から参加する6名でなる地獄合唱団が歌います。


③視覚にたよらない漫画読書体験!
視覚障害者の方々へ漫画読書体験を提供することを目指しています。
視覚障害者への漫画音訳作品は現在50作品程度ということです。
日野日出志作品は、残酷な描写と共に、人間の持つ弱さや美しさが魅力的な作品です。
視覚に頼らず、様々な声の表現を通して、劇的な読書体験を提供します。


4月29日の上演はβ版として実施し、
参加いただいた皆さんと終演後にお話しをする機会を設けます。
みなさまのご来場お待ちしております。

漫画朗読劇について

朗読劇では、漫画の中に度々 登場する日野日出志少年を軸に、彼が体験してきた様々な出来事を語りながら記憶の中を巡る『幻想のコラージュ作品』として上演します。
父、母、姉、兄らの家族との出来事や、街で出会った奇怪な人物や人以外の生き物との交流でおこる様々な出来事を一つの物語として構成していきます。
漫画を読んでいる時の没入感、読者それぞれが膨らませたイメージ、植えつけられたトラウマ=忘れられない瞬間・景色・描写などのビジュアル表現、「ぎゃー」「どろどろ」「ギギギ」といった書き文字、吹き出しやコマ割り等の漫画独自の表現も、光や影などのオブジェクトを使い表現していく予定です。
朗読劇だからこそ出来る身体や声の表現を行い、漫画を一人で読むのとは違った体験を目指します。

日野日出志漫画について

日野日出志漫画の登場人物は悲しみにまみれています。
彼らは決して日の当たらない日陰の中に生きています。
殴られ、誹られ、追いやられ、社会のはみ出し者の姿を描き、苦しみの果てにたどり着いた狂気の世界、幻想の世界が日野日出志漫画に現れています。街の景色を一気に衛生的にしていった1964年の東京オリンピックから3年後の1967年に日野日出志は漫画家としてデビューしています。同じ頃にはグループサウンズの大流行、ウルトラセブンの放送開始、天才バカボン・ルパン三世などの漫画が連載開始。社会の変化と、時代をリードするような文化・芸術が花開いている時代の中で日野日出志は漫画家デビューをしました。
デビュー作「つめたい汗」は、炎天下の中で侍同士が暑さによって自分をコントロール出来なくなる様子を描いた作品です。その後、レイ・ブラッドベリの「刺青の男」を読み、”怪奇と叙情”、”人間として存在することの根源的切なさ”を表現した伝説の漫画「蔵六の奇病」を1970年に発表ました。
その後、「赤い蛇」「地獄変」等、虚構の漫画世界から読者の
現実を侵食する作品を数々発表し、国内外で高い評価を得ることになります。

日野日出志について

日野日出志は1946年旧満州チチハルに生まれています。
同じく満州生まれの作家に日本の不条理劇を築き上げた劇作家”別役実”がいます。別役実の作品世界の多くには荒野の中に佇む電信柱が登場しています。それは、戦後の何もない景色の中でも立ちつくす電信柱の姿を描いているといわれています。同じように日野日出志の作品には、騒音を撒き散らし、毒々しい煙を吹き上げ続ける工場が度々登場します。高度経済成長の真っ只中で、日本が猛烈な勢いで変化し、失われた祖国を描いているように感じます。


MEMBERS

メンバー


原作・漫画

日野日出志

漫画家。大阪芸術大学芸術学部キャラクター造形学科教授。
1967年のデビュー以来、雑誌「ガロ」「少年画報」「少年サンデー」などを中心に
「蔵六の奇病」「地獄変」など数多くの怪奇や叙情的な世界を表現し、ホラー漫画界の重鎮として人気を確立。
国内にとどまらず海外でも高く評価され、翻訳作品が多数ある。

企画・演出

五味伸之

俳優・演出家。1985年、群馬生まれ。
「記憶とのつきあい方」をテーマに演劇活動を行う。参加者の体験を再構成し劇化する作品創作を得意とし、プレイバックシアター、新聞劇、お化け屋敷演劇など、様々な上演形式の演劇作品の発表も行っている。2009年より海外へ進出しTongMyong大学(韓国釜山市)での招聘公演を皮切りにアジアでの上演も多く行っており、2011年〜2014年「Small Theater Big Drama」(香港)、2015年、Wuzhen Theater Festival参加。2008年からは(公財)福岡市文化芸術振興財団主宰の演劇ワークショップや、福岡市就労自立支援センターでの演劇コミュニケーション講座講師など、指導者としての活動も行う。その他、ナレーションなども行う。日本演出者協会会員。福岡恐いもの研究会代表。無倣舎主宰。

出演

猛者真澄

池浦和彦

作曲・指揮

そめやみつ(演劇ユニット チームドリーム、Chor Doma)

石川県出身。九州大学芸術工学府大学院修了。
合唱・演劇・CGアニメーションの制作など様々な分野で活動しています。

地獄合唱団

テノール
橋下優人
(Alumni)

テノール
岩水岳喜
(バーバーショップカルテット「EXITs」)

テノール
管英権
(Chor Doma)

アルト
片山乃彩

ソプラノ
高松美果

ベース
そめやみつ
(演劇ユニット チームドリーム、Chor Doma)


COLUMN

私のMコレクション


出演者・スタッフがついつい集めちゃう気になっちゃう「私のMコレクション」コラムです。
Mysteriou,My,Mad,Memory…


INFORMATION

公演情報



●上演日
2022年4月29日(金・祝)
18:00開演(30分前開場)

●スケジュール
17:30〜開場
18:00〜開演
19:30〜終演
19:40〜本企画内容についてトーク&ディスカッション
20:30〜終了

●会場
鳥飼倶楽部
〒810-0053 福岡県福岡市中央区鳥飼3丁目7-14

●参加費
カンパ制

●企画・演出
五味伸之

●原作・漫画
日野日出志

●出演
猛者真澄、池浦和彦

●合唱
地獄合唱団
テノール:橋下優人(Alumni)、岩水岳喜(バーバーショップカルテット「EXITs」)、管英権(Chor Doma)
アルト:片山乃彩
ソプラノ:高松美果
ベース:そめやみつ(演劇ユニット チームドリーム、Chor Doma)

●作曲・指揮
そめやみつ(演劇ユニット チームドリーム、Chor Doma)

●宣伝美術
五味伸之

●主催
空間再生事業劇団GIGA

●協力
日野プロダクション、UFO


TICKET

チケット予約


●空間再生事業 劇団GIGA

お名前・連絡先・枚数をお教えください。
メール:mail@spacegiga.com

WEB予約フォーム

https://forms.gle/GMSSntMuE9BKAmC46


RECRUIT

出演者・スタッフ募集


怪奇・幻想の漫画家「日野日出志」の朗読劇の出演者・スタッフを募集します。
怪奇と幻想を愛する方のご応募お待ちしています。

●募集内容
怪奇・幻想の漫画家「日野日出志」の漫画を
朗読劇化する出演者・スタッフの募集。

●上演内容
日程:2022年・春
作品:「Mコレクション」

●募集対象
・出演者
・スタッフ(音楽・衣装・メイク・道具・そのほか)

●応募案内
下記の内容をお書きの上メールにてご応募ください。
(1)お名前、(2)年齢、(3)連絡先(メール・電話番号)、(4)応募内容(出演・スタッフ)、(5)応募動機、(6)好きな日野日出志漫画とその理由

●応募先
mail[at]spacegiga.com
※[at]を@に変更してお送りください。


CONTACT

お問い合わせ


上演のお問い合わせは空間再生事業 劇団GIGAにお願いします。
TEL:050-5319-9109
メール:mail@spacegiga.com
web:https://spacegiga.com/